「ワインの種類」というと、赤、白といった色による分類を思い浮かべる人が多いと思いますが、製法による分け方もあります。今回はワインを楽しんでいただくために、その二つの分け方をそれぞれ解説していきましょう。
1.製造方法によるワインの分け方
製造方法でワインを分けると、スティルワイン、スパークリングワイン、フォーティファイドワイン、フレーバードワインの4つに分けられます。以下でその違いを詳しく解説しましょう。
1-1.スティルワイン
一般に広く出回っているワインの総称で、白ワイン、赤ワイン、ロゼワインのことを言います。炭酸ガスを含まずに製造するので発泡性がないことが特徴です。アルコール度は9~15度程度であることが一般的です。
1-2.スパークリングワイン
スパークリングワインはスティルワインと異なり、発泡性があります。正式には3気圧を超えるガス圧を持っています。有名な「シャンパン」はスパークリングワインの中の一つの種類で、フランスのシャンパーニュ地方で特定の製造方法を守っているものを呼びます。
1-3.フォーティファイドワイン
製造過程でブランデーなどのスピリッツを足すことでアルコール度を上げ、味わいや保存性を高くしたワインです。スペインのシェリー、イタリアのマルサラ、ポルトガルのポートワインやマディラなどが有名です。
1-4.フレーバードワイン
スティルワインに果汁や香辛料、ハーブ、甘味料などを加えて香りや味に個性を持たせたものです。スペインのサングリア、イタリアのヴェルモットが有名で、食前酒やカクテルに入れることでも知られています。
2.スティルワインの種類
スティルワインは日常的に飲まれている白ワイン、赤ワイン、ロゼワインの総称です。スティル(still)という単語には「静か」、「動きがない」という意味があり、発泡性があるスパークリングワインが炭酸によって動きがあるのに対する言葉です。ここからはスティルワインの種類を紹介しましょう。
2-1.赤ワイン
製造時に原料となる黒ブドウの果汁に、皮や種を漬け込むのが赤ワインです。皮に含まれているアントシアニンという色素が溶け込むことから、また、ワイン自体が赤くなります。ブドウの皮と種にはタンニンという成分があり、これが赤ワインの特徴である渋みになります。
赤ワインは渋みや味わいでも区別されます。渋みが強く味や香りが濃厚なものを「フルボディ」と呼びます。フルボディとは逆に軽い味わいで色も薄いものを「ライトボディ」と呼び、軽めの口当たりを好む人に向いています。フルボディとライトボディの中間的存在をミディアムボディと呼びます。
赤ワインに使われる黒ブドウには、メルロー、サンジョベーゼ、カベルネ・ソーヴィニヨン、シラー、ピノ・ノワールなどがあります。
2-2.白ワイン
白ワインは白ブドウの果汁だけを使って発酵させるので、赤ワインのような色や渋みがありません。その分味わいの特徴はフルーティさ、フレッシュさが目立ちます。白ワインはワインに含まれる糖分から、甘口、辛口といった味の特徴で分けられ、好みや料理に合わせて選ばれます。
白ワインに使われるブドウは、シャルドネが特に有名ですが、ほかにもリースリング、ソーヴィニョン・ブラン、ピノ・グリ、セミヨンなどがあります。
2-3.ロゼワイン
ロゼワインは淡いピンクの色合いが特徴で、「ロゼ」という言葉はフランス語のバラ色を表しています。その魅力は見た目のスタイリッシュさだけでなくいろいろな料理に合わせやすいことも挙げられます。ロゼワインには3種類の製造方法があり、それぞれに違う味わいがあります。
黒ブドウを使って白ブドウとほとんど同様の方法で作る「直接圧搾法」によって、さわやかな味に仕上がります。「セニエ法と呼ばれる作り方は、黒ブドウを使って赤ワインのように皮を合わせて醸造を始めますが、途中で果汁を引き抜いてさらに醸造させて作ります。
3つ目は「混醸法
と呼ばれるもので黒ブドウと白ブドウを合わせて発酵させます。基本的に完成した赤ワインと白ワインを混ぜることはヨーロッパでは禁じられていますが、唯一シャンパーニュで作るロゼワインだけはこの方法が許されています。
3.まとめ
ワインの製造方法による種類についてまとめました。ワインについて深く知りたい人はここで上げた作り方による味の違いをお試しになられても楽しいでしょう。とはいえ、そこまで深い知識はいらないけど、カジュアルにワインを楽しみたい、という人が大多数だと思います。
南青山にあるフレンチバル「ル シェーヌ」はご注文の料理に合わせて、スタッフによるワインの提案も行っています。また、ワインのお好みをお伺いして、そのとき扱っている中で一番お客さまのご要望に近いと思われるものをお出しいたします。料理だけでもこだわって作っていますが、料理にピタリと合うワインと出会えたときの喜びはとても大きいものです。特に知識がなくてもスタッフがガイドしますので、お気軽にワインに挑戦してみてください。